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漢文として楽しむ論語 微子第十八 1/3トップページ 論語序説(朱子による孔子の略歴) 學而第一 爲政第二 八佾第三 里仁第四 公冶長第五 雍也第六 述而第七 泰伯第八 子罕第九 郷黨第十 先進第十一 顔淵第十二 子路第十三 憲問第十四 衞靈公第十五 季氏第十六 陽貨第十七 微子第十八 子張第十九 堯曰第二十 1(461) 微子去之…
○ 【書き下し】微子は之を去り、箕子は之が奴と為り、比干は諌めて死す、孔子の曰く、殷に三仁有り、 【訳】微子は殷の紂王の無道を諌めて聞き入れられず、去って隠遁した。箕子は諌めて聞き入れられなかったが、そのまま去らずに居たので投獄されて奴となった。比干は諌めて死んだ。孔子が仰った。殷に三人の仁者が有った。 【解説】微子は殷の紂王の異母兄、名は啓または開、微子啓ともいう。紂王が無道だったので、微子と箕子と比干はそれぞれ諌めた。紂王が周の武王に滅ぼされたので、周に帰服し、後に殷の後継者として宋に封じられた。 2(462) 柳下惠爲士師…
○ 【書き下し】柳下恵、士師と為りて、三たび黜けらる、人の曰く、子、未だ以って去る可からざるや、曰く、道を直くして人に事えれば、焉くに往くとしてか三たび黜けられざらん、道を枉げて事えれば、何ぞ必ずしも父母の邦を去らん、 【訳】柳下恵は司法の役人になったが、何度もクビになった。ある人が言った。あの人は何度も役職をクビになっているのに、なんで未だにこの国を去らないのですか。柳下恵は言った。道を正しく直く行って人に仕えれば、どこへ行っても同じようにクビになるんじゃないかな。そもそも道を不正に曲げて人に仕えるのであればクビになることはないから、生まれ育ったこの魯国を去る必要もないのだが。 【解説】柳下恵は魯の賢人、姓は展、名は獲、字は禽、恵は諡。士師は訴えを聞く役人、今の裁判官や検事のようなものか。三黜は三度だけということではなく、たびたびその役職を退けられた、といった意。 3(463) 齊景公待孔子…
○ 【書き下し】斉の景公、孔子を待するに、曰く、季氏が若きは則ち吾れ能わじ、季孟が間を以って之を待せん、曰く、吾れ老いたり、用いること能わじ、孔子行る、 【訳】斉の景公が孔子の待遇について言った。季氏のような高待遇は無理だ。季氏と孟氏の中間くらいの待遇にしたい。しかし再度考えてこう言った。私も年老いた。孔子の理想は大き過ぎる。無理して用いることもない。孔子は斉を去って魯に戻った。 【解説】待は待遇のこと。季氏は魯の上卿強臣なので、季氏と同等ならばとてつもない高待遇になる。孟氏は下卿なので、孟氏と同等ならそれほどの待遇ではない。 4(464) 齊人歸女樂…
○ 【書き下し】斉人、女楽を帰る、季桓子、之を受く、三日朝せず、孔子行んぬ、 【訳】斉の人が魯に女楽を送り込んだ。季桓子は快く受け、定公と季桓子はこの女楽を愉しみ、三日間も朝務を捨てて行わなかった。その様子に孔子は呆れて、役職を捨て、魯を去った。 【解説】女楽は淫靡な妓女の舞。孔子が斉から魯に帰ったとき、定公と季桓子は孔子を司寇に任じ、宰相も兼ねさせたところ僅か三ヶ月で魯国は大いに治まった。斉はこれを見て、魯がやがて天下を取るのではないかと不安になり、魯の人々を惑わせようと女楽を魯に送ったのだ。 5(465) 楚狂接輿…
○ 【書き下し】楚の狂、接輿、歌って孔子を過る、曰く、鳳鳳、何ぞ徳の衰えたる、往く者は諌む可からず、来る者は猶、追う可し、已んなん已んなん、今の政に従う者は殆し、 【訳】楚国の狂人を装った接輿という者が、歌いながら孔子の車の前を通り過ぎた。その歌の詞はこうだった。孔子の徳は鳳鳥のようだ、鳳鳥は天下に道がある時に現れ、道が無い時に隠れる。今、道が無いのに現れたのは、何ぞその徳が衰えたということか。過ぎたことは今更諌めて止められない。これからのことは、なお追いついて引き止められる。止まれ止まれ。今の世に仕えて政事に従う者は危険だ。 【解説】接輿は世が治まらないので、自ら狂人を装って隠れ居て、仕えなかった。孔子が楚に行ったとき、仕官をやめて隠れたほうがよいと、歌を以って伝えたのだ。兮は歌の引き声を示すので読まない。この詞は孔子が仕官を思い止まるように勧めている。 【書き下し】孔子、下りて、之と言わなく欲す、趨って之を辟く、之と言うことを得ず、 【訳】孔子は車を下り、之と語り合いたいと思った。接輿は自らの思いを是として孔子の言うことは聞きたくなかったので、走って去った。孔子は彼と話すことはできなかった。 【解説】接輿はただ世を避けるだけで、世を救う志はなく、ただ堅く守る操があるだけで、変じて通じさせるだけの学はなかった。 |
最終更新日:令和02年10月21日
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